下流志向/内田樹
内田先生のブログは何度か拝見したことがあるのですが、
恥ずかしながら本はこれが2冊目。
教育の本質に触れる文章が散りばめてあった。
特に印象深かった論議をいくつかピックアップ。
①答えられない質問には答えなくていい
「どうして学校に行くの?」
「どうして人を殺してはいけないの?」
子供ができたらこのような質問は想定できる。
これの正しい答え方は、絶句すること、らしい。
絶句・・といえども、それは一つのコミュニケーションなんでしょう。
なんでも答えるのが教えるってことじゃないねんな。
②教育を受益してる人は、教育課程が終わる直前になるまで、自分がどのような利益を受けているのか言えない。
これはそうなんでしょう。
自分が教育によって授かった利益なんて全部あとづけなんやと自分は思ってる。
得ようとするものを予測することはできるけど、実際何を学んだのかは終わってみないとわからんやんな。
(と、絶賛新入研修中の自分に言い聞かすことにしておこう)
③自分探しの旅の本当の目的は、「出会うこと」ではなく「自分の外部評価をリセットすること」
僕は大学時代にいろんなとこに行ったけど、それを「自分探しの旅してきたぜ!」なんて恐れ多くて言えへんな・・
でも確かに2か月くらい旅に出たのち、帰国して友人などに会うと、どこかしら相手からの目線が違うような気がしないでもない。
それはまるで旅によって、生まれ変わった自分を見るよう。
そんな変わるわけあるかーい。
④消費行動は本質的に無時間的な行為
最近は何か物を買うたびに「消費」か「投資」かを考えちゃう嫌な大人になってきた。
考えた結果、消費も見方によっては投資に見えなくもない、かもしれないときもある。
そんな悩める自分の思考を内田先生が消費の定義をしてくれたおかげで、解決できるのかもしれない!
ちなみに僕は消費行動は必ずしも悪ではないと思ってます。
合理的に生きるだけが最高の生き方ではないわ。
⑤弟子が師匠の持っている技術は自分のそれと比較考量可能であると考えたときに、師弟関係は破綻する。
まさにこれ。
恐らくほとんどの人の身近な師匠は両親になると思う。
自分の父においても、技術うんぬんを定量的に比較して語れる存在ではない。
一生抜かすことのできない存在。
もし自分が、
いつまでも尊敬される存在でありたい。
いつまでもついてきてもらえる存在でありたい。
って思ってるなら、
尊敬されるポイントは具体的な数値に落とし込めないレベルになっていなければならない。
そしてそれを維持し続けなければならない。
僕はそんな大人になりたい。
下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/15
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